Windows Server 2025の2026年8月アップデートで不具合【8/12更新】

Windows Server 2025の2026年8月アップデートで不具合 Winodws Server 2025
Windows Server 2025の2026年8月アップデートで不具合

2026年8月11日(日本時間)に配信されたWindows Server 2025の月例アップデート(Patch Tuesday)KB5120233について、注意しておきたい変更点・不具合をまとめます。今回のアップデートは、機能追加としては比較的落ち着いた内容ですが、北朝鮮系ハッカー集団「Lazarus」による実際の悪用が確認されているゼロデイ脆弱性に加え、認証不要でリモートからコード実行が可能な「重大(Critical)」評価の脆弱性が複数含まれており、サーバー管理者にとってはセキュリティ面での優先度が非常に高い月例更新です。

📋 改訂履歴

日付 更新内容
v1.0 2026年8月12日 初版公開(不具合①〜④、継続中の既知の問題⑤、注意点⑥を掲載)

※本アップデートは配信直後(8/11〜8/12時点)の情報に基づいています。今後、公式認定や新たな不具合報告があり次第、随時追記・更新を行う予定です。

📋 今月(2026年8月)のWindows Server 更新プログラム

対象バージョン KB番号 ビルド番号 配信日
Windows Server 2025 KB5120233 26100.33296 2026年8月11日
Windows Server 2022 KB5120242 20348.5499 2026年8月11日
Windows Server 2025(Hotpatch版) KB5120228 26100.33222 2026年8月11日
サービシングスタック更新(Server 2025) KB5120232 26100.33288 2026年8月11日

※本更新には7月28日配信の月例プレビュー版(任意インストール)の非セキュリティ修正もすべて含まれています。今回のセキュリティ修正件数は、報道機関により394件〜421件と幅がありますが、いずれもWindows、Office、Exchange、SharePoint、Azureなど全製品の合計件数です。

🚨 最優先で確認:実悪用ゼロデイと複数の「重大」なリモートコード実行の脆弱性

今回の更新には、Windows Sockets APIの基盤ドライバー「afd.sys」の権限昇格の脆弱性(CVE-2026-68820)への対応が含まれています。この脆弱性はWindows Server 2025を含む複数のWindows製品に影響し、セキュリティ企業Check Point Researchの調査により、北朝鮮系ハッカー集団「Lazarus」がルートキット「FudModule」の展開に実際に悪用していたことが確認されています。

あわせて、サーバー環境で特に注意が必要な、認証不要でリモートから悪用可能な「重大(Critical)」評価の脆弱性も複数修正されています。詳細は「不具合②」「不具合③」をご確認ください。

  • CVE-2026-68820(afd.sys、実悪用確認済み):CVSS 7.0
  • CVE-2026-62815(Microsoft QUIC RCE):CVSS 9.8・重大
  • CVE-2026-62893(Windows Deployment Services TFTP Server RCE):CVSS 9.8・重大
  • CVE-2026-62832(LegacyHive、User Profile Service):CVSS 7.8・一般公開済み

✅ KB5120233 の主な修正・変更点(参考情報)

  • 7月不具合の修正 絵文字パネルのGIF機能停止を修正:Google Tenor API終了に伴い利用できなくなっていたGIF検索機能が、提供元をGIPHYに切り替えることで復旧しました。7月時点で修正が確認できていなかった点ですが、今回の更新で解消されています
  • 📁 DFSマップドライブ上のファイルエクスプローラーの動作を改善:ネットワーク再接続後にプレビューやコピーしたファイルが正しく機能するよう修正
  • 🔐 耐量子暗号(PQC)証明書のサポートを改善:証明機関(CA)構成時のPQCオプションが復元され、新規作成したPQC証明書テンプレートでの証明書発行が正常に行えるようになりました
  • 🔒 Secure Boot証明書の自動配信対象をさらに拡大(2023年証明書チェーンへの移行を継続)
  • 🛠️ サービシングスタック更新(KB5120232)によるWindows Update関連コンポーネントの品質改善

🚨 不具合①:afd.sys(WinSock)の権限昇格の脆弱性(Lazarusによる実悪用確認済み)

対象:Windows Server 2025(Windowsソケット通信を行うすべてのサーバー) 🚨 実際の悪用をMicrosoft・Check Pointが確認済み(CVE-2026-68820)

内容

Windows Sockets APIの基盤である、カーネルモードドライバー「Ancillary Function Driver for WinSock(afd.sys)」に、解放済みメモリを再利用してしまう「use-after-free」の脆弱性(CVE-2026-68820、CVSS基本値7.0)が発見・修正されました。ローカルで認証された攻撃者が特別に細工したアプリケーションを実行し、競合状態(レースコンディション)を発生させることで、SYSTEM権限への昇格が可能になります。この脆弱性は、Windows 10・Windows 11に加え、Windows Server 2022・Windows Server 2025を含む幅広いWindows製品に影響します。

セキュリティ企業Check Point Researchによると、この脆弱性は北朝鮮系ハッカー集団「Lazarus」による侵入活動の中で、カーネルモードのルートキット「FudModule」の新バージョンを展開する目的でゼロデイとして悪用されていました。ターミナルサービスやRDS(リモートデスクトップサービス)ホストなど、複数ユーザーがログインするサーバーでは、ローカル権限昇格の踏み台として悪用されるリスクが特に高い点に注意が必要です。

🔧 対処法:KB5120233(またはHotpatch環境ではKB5120228)を速やかに適用してください。すでに実際の攻撃で悪用が確認されている脆弱性であるため、優先度高く対応することを強く推奨します。不審なローカル権限昇格の兆候がないか、エンドポイントのテレメトリもあわせて確認することをおすすめします。


⚠️ 不具合②:Microsoft QUICのリモートコード実行の脆弱性(重大・未認証で悪用可能)

対象:QUICを利用するサービスを公開しているWindows Server 2025(Server Core含む) CVSS 9.8・重大(Critical)

内容

Microsoft QUICプロトコルの実装に、解放済みメモリを再利用する「use-after-free」の脆弱性(CVE-2026-62815、CVSS基本値9.8)が発見・修正されました。認証されていないリモートの攻撃者が、特別に細工したパケットをネットワーク経由で対象サービスに送信するだけで、ユーザー操作なしにコードを実行できる可能性があります。本記事執筆時点で実際の悪用や一般公開は確認されていませんが、CVSSスコアが最大値に近く、被害の深刻度は非常に高いと評価されています。

🔧 対処法:SMB over QUICやHTTP/3など、QUICプロトコルを利用するサービスをインターネットなど信頼できないネットワークに公開しているサーバーでは、KB5120233の適用を最優先で行ってください。パッチ適用が即座に完了できない場合は、該当サービスのネットワーク露出を一時的に制限することも検討してください。


⚠️ 不具合③:Windows Deployment Services(WDS)TFTPサーバーのリモートコード実行の脆弱性(重大)

対象:WDS(Windows展開サービス)ロールを有効化しているWindows Server CVSS 9.8・重大(Critical)

内容

PXEブートによるOS展開などに使われるWindows Deployment Services(WDS)のTFTPサーバー機能に、解放済みメモリを再利用する「use-after-free」の脆弱性(CVE-2026-62893、CVSS基本値9.8)が発見・修正されました。認証されていないリモートの攻撃者が、脆弱なサービスに対して細工したパケットを送信することでコード実行が可能になる可能性があります。WDSロールは社内ネットワークでのPC展開・キッティング作業に広く使われているため、該当ロールを有効化している組織は優先的な確認が必要です。

🔧 対処法:WDSロールを有効化しているサーバーでは、KB5120233を優先的に適用してください。WDSのTFTPサービスを社内の展開作業以外の目的で外部ネットワークに公開していないか、あわせてネットワーク構成を確認することをおすすめします。


⚠️ 不具合④:「LegacyHive」ユーザープロファイルサービスの脆弱性(一般公開・PoC出現済み)

対象:複数のローカル/リモートデスクトップユーザーを持つWindows Server 一般公開済み・「悪用の可能性が高い」とMicrosoftが評価

内容

Windowsのユーザープロファイルサービスに存在するリンク解決に関する脆弱性(CVE-2026-62832、通称「LegacyHive」、CVSS基本値7.8)が修正されています。別のローカルアカウントの認証情報を持つ攻撃者が特別に細工したアプリケーションを実行することで、別のユーザー(管理者を含む)のレジストリハイブを読み込ませ、権限を昇格できる可能性があります。修正プログラムの配信からわずか数時間後には概念実証(PoC)コードも出回っており、Microsoftは「悪用の可能性が高い(Exploitation More Likely)」と評価しています。複数ユーザーがリモートデスクトップでログインするターミナルサーバーなどでは、特に注意が必要です。

🔧 対処法:KB5120233の適用を優先的に行ってください。特にリモートデスクトップサービス(RDS)ホストなど、複数ユーザーがログインするサーバーでは速やかな展開をおすすめします。


ℹ️ 継続中の既知の問題⑤:WSUSの同期エラー詳細が表示されない(継続中)

対象:WSUS(Windows Server Update Services)を運用する環境 2025年10月から継続中・KB5120233でも公式に既知の問題として掲載

内容

2025年10月配信のKB5070881以降の更新を適用した環境では、WSUSの同期エラーレポート機能において、エラーの詳細が表示されなくなっています。これはリモートコード実行の脆弱性CVE-2025-59287への対応として、一時的に該当機能を無効化した結果であり、KB5120233の公式リリースノートでも「本更新における既知の問題」として引き続き掲載されています。8月時点でも解決の見通しは示されていません。

🔧 対処法:現時点では明確な回避策は提供されていません。WSUSの同期エラーの原因調査が必要な場合は、詳細なエラー情報が得られない前提で、イベントログや他の診断手段と組み合わせて調査を行う必要があります。


ℹ️ 注意点⑥:boot.stl欠落によるデプロイメディアの起動失敗(0xc0430001)

対象:カスタムWindows Serverイメージ・展開メディアを運用する組織

内容

本更新をダイナミックアップデートとして既存のWindowsイメージに適用する場合、インストールメディアにboot.stlファイルが含まれていないと、対象デバイスがインストールメディアから正常に起動できず、エラーコード0xc0430001が発生する可能性があります。boot.stlはSecure Bootの検証に使用されるファイルで、更新対象のWindowsバージョン・アーキテクチャに一致したものが必要です。

🔧 対処法:Microsoft公式の「Update WinPE」スクリプトを利用するか、デバイスのWindows\Boot\EFIフォルダーからboot.stlファイルを手動でインストールメディアへコピーしてください。


🔁 7月不具合のその後:絵文字パネルのGIF機能は解消済み

先月(7月)の記事では、Google Tenor APIの終了に伴う絵文字パネルのGIF機能停止について、Windows Server 2025向けの7月更新(KB5099536)では修正が確認できなかった旨をお伝えしていました。今回のKB5120233では、GIF提供元をGIPHYに切り替えることでこの不具合が正式に解消されています。また、7月にお伝えしたAD FSのDKMコンテナーACLに関する脆弱性(CVE-2026-56155)や、TDIトランスポート登録の強制・ホットキー処理変更については、いずれも一度きりの対応・仕様変更であり、8月更新時点で新たな追加報告は確認されていません。


📊 まとめ・対処法一覧

項目 対象 深刻度 対処法
afd.sys(WinSock)権限昇格の脆弱性(CVE-2026-68820)
Lazarusによる実悪用を確認済み
Windows Server 2025 全般 最優先・緊急 KB5120233(Hotpatch環境はKB5120228)を速やかに適用
Microsoft QUICのRCE(CVE-2026-62815)
未認証・リモート・重大
QUIC利用サービスを公開するサーバー 最優先・緊急 KB5120233を最優先で適用/ネットワーク露出の制限を検討
WDS TFTPサーバーのRCE(CVE-2026-62893)
未認証・リモート・重大
WDSロール有効化サーバー 最優先・緊急 KB5120233を優先的に適用/TFTPサービスの外部公開有無を確認
「LegacyHive」ユーザープロファイルサービスの脆弱性(CVE-2026-62832)
一般公開・PoC出現済み
複数ユーザーがログインするサーバー 優先的にKB5120233を適用
WSUS同期エラー詳細の非表示(継続中)
2025年10月から継続
WSUS運用環境 中(運用影響) 明確な回避策なし/他の診断手段と併用
boot.stl欠落によるデプロイ失敗(0xc0430001)
カスタムイメージ運用者向け
カスタムWindowsイメージを運用する組織 中(IT管理者向け) Update WinPEスクリプトの使用/boot.stlの手動コピー

📝 補足情報

今回の脆弱性CVE-2026-68820は、Windows 11・Windows 10向けの8月更新にも共通する脆弱性です。クライアントとサーバーが混在する環境では、双方の更新適用状況をあわせて確認することをおすすめします。

今回の8月Patch Tuesdayでは、Windows・Office・Exchange・SharePoint・Azureなど全製品あわせて394件〜421件(報道機関により差あり)のセキュリティ脆弱性が修正されたと報じられています。うち62件が「重大(Critical)」評価で、40件がリモートコード実行の脆弱性です。

Microsoft公式のリリースノートでは、本記事執筆時点(2026年8月12日)でKB5120233について、WSUSの同期エラー詳細非表示の件を除き、新たな既知の問題は掲載されていません。ただし、上記の通り複数の「重大」なリモートコード実行の脆弱性が含まれているため、特にインターネットに面したサーバーや、WDS・QUIC対応サービスを運用する環境では、優先度を上げた計画的な適用をおすすめします。


🔗 参考・公式情報

最終更新:2026年8月12日(v1.0)/ 情報は記事公開時点のものです。今後の公式発表により内容が変わる場合があります。

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