| 2026年5月22日 | v1.0 | 初版公開。AJO B2B Edition 5月リリース新機能・Marketo Engage APIデプリケーション対応手順・移行チェックリストを掲載 |
2026年5月22日より順次展開されているAdobe Journey Optimizer B2B Edition(AJO B2B)とAdobe Marketo Engageの最新リリース内容を解説します。特にMarketo EngageのSOAP API完全廃止(期限:2026年7月31日)はシステム担当者が今すぐ対応すべき緊急事項です。新機能のビジネス価値と合わせて、初心者の方にもわかりやすく整理しました。
Adobeは2026年5月22日、B2BマーケティングプラットフォームであるAdobe Journey Optimizer B2B EditionとAdobe Marketo Engageの最新リリースを段階的に展開開始しました。今回のリリースはランディングページ機能の正式提供やAIによるバイヤーグループ自動生成など、プラットフォーム内完結型のB2Bワークフローの実現に向けた大きなステップとなっています。
一方でシステム連携担当者にとって最も重要なのは、Marketo Engageの「SOAP API」と「REST API access_tokenパラメータ」が2026年7月31日をもって完全廃止される点です。この期限を過ぎると、対応していないシステムはMarketo Engageとの連携が突然停止します。
この期限を過ぎると、古い方式でMarketo Engageに接続しているCRM・MAツール・外部システムとの連携がすべて停止します。本記事の「APIデプリケーション対応」セクションを必ずご確認ください。
📌 この記事の内容
- 今回のリリース概要
- ✨ AJO B2B Edition:5月リリースの新機能4選
- 📧 Marketo Engage:メールデザイナー拡張
- 🚨 最重要:APIデプリケーション対応ガイド(期限:7月31日)
- ✅ 移行チェックリストと手順
- まとめ・対応優先度一覧
📋 今回のリリース概要
| 製品 | 主な変更内容 | 展開開始日 | 対応優先度 |
|---|---|---|---|
| AJO B2B Edition | ランディングページ/フォームGA・アカウントリストフィルタ・AIバイヤーグループ生成・レポート強化 | 2026年5月22日〜段階展開 | 新機能活用 |
| Marketo Engage | メールデザイナーへの条件付きコンテンツ対応・SOAP API廃止・REST API access_token廃止 | 2026年5月22日〜段階展開 | 7/31期限・要対応 |
✨ AJO B2B Edition:5月リリースの新機能4選
外部ツール不要でAJO B2B内でLP・フォームを作成・公開。リード獲得からジャーニー連携をプラットフォーム内で完結できる
ターゲット企業リスト(アカウントリスト)をジャーニーの分岐条件として活用。企業ごとに最適化された体験を提供可能に
1stパーティインテントデータと役割マッピングからAIがバイヤーグループテンプレートを自動生成。自然言語で微調整も可能
「メールエンゲージメントパフォーマンスレポート」と「ペルソナジャーニー概要ダッシュボード」で横断的な可視化が向上
① ランディングページ・フォーム機能のGA(一般提供)
これまでベータ提供だったランディングページとWebフォームの作成・公開機能が、正式版(GA)として全ユーザーに提供されました。
これによって、以前はMarketoやHubSpotなど外部ツールで行っていたLPやフォームの作成をAJO B2B Edition内で完結できるようになりました。作成したフォームへの入力はリードとしてジャーニーに自動連携されます。
- ウェビナー申し込みページ → 申込者を自動的にナーチャリングジャーニーに投入
- ホワイトペーパーダウンロードLP → ダウンロード後にフォローアップメールシーケンスを自動起動
- 問い合わせフォーム → 入力情報をもとにバイヤーグループへの自動マッピング
② アカウントリストフィルタ
ABM(アカウントベースドマーケティング)の核心ともいえる機能強化です。事前に定義した「ターゲット企業リスト(アカウントリスト)」をジャーニーの分岐条件として使用できるようになりました。
| 活用例 | 設定内容 | 期待効果 |
|---|---|---|
| 重点顧客向け特別コンテンツ | 「プレミアムアカウントリスト」に含まれる企業の担当者にはVIP向けコンテンツを配信 | 重点顧客のエンゲージメント向上・商談加速 |
| 未開拓企業への見込み育成 | 「ターゲット新規開拓リスト」の企業を別ジャーニーで教育コンテンツ優先配信 | 認知から興味喚起への効率的な誘導 |
| 競合乗り換えキャンペーン | 「競合製品導入済み企業リスト」に対して比較検討コンテンツを優先表示 | スイッチング意欲の醸成 |
③ AIによるバイヤーグループ生成(Audience Agent)
今回の新機能の中でも特に注目度が高い機能です。AIが自動的にバイヤーグループのテンプレートを生成してくれます。
Audience Agentは、以下の2つのデータをもとにバイヤーグループのテンプレートを自動生成します:
- 1stパーティインテントデータ:自社サイトへのアクセス行動・コンテンツ閲覧履歴など、ターゲット企業の興味関心データ
- 役割マッピング(ペルソナマッピング):購買決定に関わる職種・役職と、その人物が担う役割の対応関係
- バイヤーグループの定義・設計にかかる工数を大幅削減
- 自然言語(日本語)でAIに修正指示が出せるため、マーケターが直接操作できる
- AIが推奨する「役職→役割マッピング」を確認・承認するレビュー画面が提供される
- 公開前にテンプレートを精緻化できるため、運用品質を保ちながら速度を上げられる
④ レポート・ダッシュボードの強化
2つの新しいレポート画面が追加されました。
| レポート名 | 概要 | 主な用途 |
|---|---|---|
| メールエンゲージメントパフォーマンスレポート | 全ジャーニーにわたるメールの開封・クリック・コンバージョンなどのエンゲージメントデータを横断的に一覧表示 | どのメールコンテンツが効果的か全体を俯瞰して把握。A/Bテストの比較にも活用 |
| ペルソナジャーニー概要ダッシュボード | バイヤーグループ内の各ペルソナ(役職・役割)がジャーニーのどのステージにいるかを可視化 | 商談の進捗状況を営業チームと共有。次のアクションの優先度判断に活用 |
📧 Marketo Engage:メールデザイナー拡張
Marketo Engageの今回のリリースでは、新しいメールデザイナーへの機能追加が行われました。
メールフラグメントへの条件付きコンテンツ対応
条件付きコンテンツとは、「Aさん(製造業)には製造業向けの文章を表示し、Bさん(金融業)には金融業向けの文章を表示する」というように、受信者の属性に応じて表示内容を自動的に切り替える機能です。この2つを組み合わせることで、再利用可能なパーツ自体も受信者に応じてパーソナライズできるようになります。
これまで旧エディタでは利用できたこの組み合わせが、新しいメールデザイナーでも使えるようになり、旧エディタとの機能格差が解消されました。新エディタへの移行をためらっていた企業にとって、移行を進める環境が整ってきています。
Adobeは旧エディタの廃止時期をまだ正式発表していませんが、新機能は新エディタ優先で追加されています。移行はできるだけ早めに検討することをお勧めします。なお、旧エディタで作成したメールは新エディタに移行ツールを使って変換できます。
🚨 最重要:APIデプリケーション対応ガイド(期限:2026年7月31日)
廃止される2つのAPI認証方式
| 廃止対象 | 廃止日 | 移行先 | 影響範囲 |
|---|---|---|---|
| SOAP API (全機能) |
2026年7月31日 | Marketo Engage REST API | SOAP APIを使ってMarketoと連携しているすべてのシステム |
| REST API access_tokenクエリパラメータ |
2026年7月31日 | Authorizationヘッダーによる認証 | URLに?access_token=…を付けてREST APIを呼び出しているシステム |
SOAP APIは古い通信方式で、XMLという形式でデータをやり取りします。REST APIはより現代的な方式で、JSONという軽量な形式を使います。
access_tokenとは、「このシステムはMarketo Engageへのアクセスが許可されている」という認証パスワードのようなものです。これをURLの末尾に直接付けて送る古い方式が廃止され、HTTPヘッダー(通信の付帯情報)に含める新しい方式への移行が求められています。
なぜ廃止されるの?
SOAP APIはインターネット黎明期に設計されたプロトコルで、現代のシステムとの親和性が低く、セキュリティ上の懸念もあります。またURLにaccess_tokenを含める方式は、URLがログに残ったり共有されたりした際に認証情報が漏洩するリスクがあります。Adobeはプラットフォーム全体のモダナイズ戦略の一環として、今回の廃止を決定しました。
影響を受けるシステムの見分け方
- Marketo Engageと連携している社内システム・SaaSツール(CRM、MAツール、データウェアハウスなど)がある
- 開発チームや外部ベンダーがMarketo Engageとの連携プログラムを構築・保守している
- Salesforce・HubSpot・SAP・独自開発システムなどとMarketo Engageを連携させている
- Marketo Engageのデータを定期的に外部に書き出す仕組みがある
REST API認証方式の変更内容(技術者向け)
REST APIの認証方式の変更は、コード上の修正量が少なく比較的シンプルです。以下のように、URLパラメータからAuthorizationヘッダーへの移行が必要です。
❌ 廃止される旧方式(URLにaccess_tokenを含める):
GET https://XXX-XXX-XXX.mktorest.com/rest/v1/leads.json?access_token=XXXXXX&filterType=email&filterValues=user@example.com
✅ 移行後の新方式(Authorizationヘッダーを使用):
GET https://XXX-XXX-XXX.mktorest.com/rest/v1/leads.json?filterType=email&filterValues=user@example.com
Authorization: Bearer XXXXXX
- URLからの
?access_token=パラメータを削除する - すべてのリクエストのHTTPヘッダーに
Authorization: Bearer {アクセストークン}を追加する - アクセストークンの取得方法(OAuth 2.0クライアントクレデンシャルフロー)自体は変わらない
- トークンの有効期限は1時間。有効期限切れ時のリフレッシュ処理も合わせて確認する
✅ 移行チェックリストと手順
【今すぐ実施】API連携の棚卸し
- SOAP API使用状況の確認:Marketo Engage管理画面の「管理」→「統合」→「Webサービス」からSOAP APIエンドポイントへのアクセスログを確認する。直近のアクセスがある場合は使用中のシステムを特定する必要がある
- REST API認証方式の棚卸し:Marketo Engageと連携しているすべてのシステム・コードを確認し、URLに
?access_token=が含まれるリクエストがないかを検索する。GitHubなどのリポジトリ検索でaccess_tokenを全文検索する方法が有効 - 外部ベンダー・SaaSツールの確認:Salesforce連携・データ連携ツール(Zapier、Talend等)・BIツールなど、サードパーティ製品のMarketo Engage連携設定を確認し、ベンダーに対して「2026年7月31日のAPIデプリケーションへの対応状況」を問い合わせる
- 影響範囲のリストアップ:確認した結果を一覧化し、移行が必要なシステム・担当者・工数を整理する
- 移行スケジュールの策定:7月31日の期限から逆算し、テスト・本番移行のスケジュールを設定する。少なくとも本番切り替えの2週間前にはテスト環境での動作確認を完了させることを推奨
SOAP API → REST API 主な機能マッピング
| SOAP API(廃止) | 移行先 REST API | 備考 |
|---|---|---|
syncLead() |
POST /rest/v1/leads.json |
リードの新規作成・更新。大量処理はbatchパラメータで一括対応可 |
getLead() |
GET /rest/v1/leads.json |
リードの取得。filterTypeでメールアドレスやIDを指定 |
requestCampaign() |
POST /rest/v1/campaigns/{id}/trigger.json |
キャンペーンのトリガー実行 |
addToList() |
POST /rest/v1/lists/{id}/leads.json |
静的リストへのリード追加 |
syncCustomObjects() |
POST /rest/v1/customobjects/{apiName}.json |
カスタムオブジェクトの同期 |
Adobe Experience LeagueにSOAP API → REST API 移行ガイド(英語)が公開されています。SOAP操作とREST操作の対応マッピング、認証の変更方法、サンプルコードが掲載されており、移行作業の際は必ず参照してください。
📊 まとめ:対応優先度一覧
| 対象 | 内容 | 期限・ステータス | 優先度 | 推奨アクション |
|---|---|---|---|---|
| Marketo Engage SOAP API廃止 |
SOAP APIを使った連携がすべて停止 | 2026年7月31日 | 最高・緊急 | 今すぐSOAP API使用箇所を棚卸し、REST APIへの移行計画を策定する |
| Marketo Engage REST API access_token廃止 |
URLパラメータによる認証が停止 | 2026年7月31日 | 最高・緊急 | コード内の?access_token=をすべてAuthorizationヘッダーに書き換える |
| AJO B2B Edition ランディングページ GA |
外部LP作成ツールをAJO内に統合できる | 5月22日〜展開中 | 新機能活用 | 外部LPツールとの二重管理解消を検討。リード獲得フローの見直しに活用 |
| AJO B2B Edition AIバイヤーグループ生成 |
バイヤーグループ定義の工数削減 | 5月22日〜展開中 | 新機能活用 | インテントデータと役割マッピングを準備してAudience Agentを試験導入 |
| Marketo Engage メールデザイナー拡張 |
フラグメント+条件付きコンテンツが新エディタで利用可能に | 5月22日〜展開中 | 中 | 新メールデザイナーへの移行を検討。旧エディタ依存の解消を進める |
📝 まとめ:今すぐやること・これから活用すること
今回の2026年5月リリースは、「新機能による業務効率化」と「APIデプリケーションへの緊急対応」の2つの顔を持つリリースです。
- 🚨 システム担当者・開発者の方(最優先):2026年7月31日のSOAP APIおよびREST API access_tokenパラメータの完全廃止まであと約2ヶ月です。今すぐMarketo Engageとの連携箇所を棚卸しし、移行計画を立ててください。対応が遅れると、期限後に連携が突然停止するリスクがあります
- 📊 マーケター・キャンペーン担当者(AJO B2B利用者)の方:ランディングページ機能の正式提供とAIバイヤーグループ生成(Audience Agent)は、B2Bジャーニー設計の工数削減に直結します。まずはテスト環境でAudience Agentの動作を確認し、本番での活用シーンを検討してください
- 📧 Marketo Engage メール担当者の方:新しいメールデザイナーでフラグメント+条件付きコンテンツが使えるようになりました。旧エディタからの移行のタイミングを検討し、新エディタへの切り替えを計画的に進めてください
- 🏢 IT管理者・ベンダー管理担当者の方:社内システムだけでなく、Marketo Engageと連携しているすべてのSaaSベンダーに対して、7月31日のAPIデプリケーション対応状況を確認することを忘れずに。サードパーティ製品側の対応漏れが連携障害の原因になりえます
本記事はAdobe公式リリースノートの更新に合わせて随時更新予定です。

