Windows Server 2022の2026年6月アップデートで不具合【6/10更新】

Windows Server 2022の2026年6月アップデートで不具合 Winodws Server 2022
Windows Server 2022の2026年6月アップデートで不具合

2026年6月9日(日本時間)に配信されたWindows Server 2022の月例アップデート(Patch Tuesday)で、複数の不具合・注意事項が確認されています。本記事では症状・原因・対処法をIT管理者向けにまとめます。

🚨 重要:セキュアブート証明書が2026年6月から順次失効中

Windows Server 2022を含むほとんどのWindowsデバイスで使用されているセキュアブート証明書が2026年6月以降に順次失効します。KB5094128では新証明書(Windows UEFI CA 2023)への移行処理が継続展開されます。IT管理者はKB5094128適用前にBitLockerポリシーとPCR7バインド状態の事前確認を必ず実施してください。

  • サーバーは引き続き通常通り起動・動作します(突然起動しなくなることはありません)
  • ブートレベルのセキュリティ更新が停止します(DBXのマルウェアブラックリストが更新されなくなる)
  • ⚠️ 対処法:Windows Updateを最新の状態に保つことで自動更新されます

📋 今月(2026年6月)のWindows Server 更新プログラム(関連バージョン含む)

対象バージョン KB番号 ビルド番号 配信日
Windows Server 2022 ★本記事対象★ KB5094128 20348.5256 2026年6月9日
Windows Server 2025 KB5094125 26100.32995 2026年6月9日
Windows Server 2019 KB5094123 17763.8880 2026年6月9日
Windows Server 2016 KB5094122 14393.9234 2026年6月9日

✅ KB5094128 の主な修正・変更内容(参考情報)

  • 🔍 ファイルエクスプローラーの検索改善:中国語テキストおよびBOM(バイトオーダーマーク)なしのUTF-8エンコードファイルへの対応向上。検索結果・コンテンツビュー・ツールチップ全体でテキスト表示の一貫性を改善
  • 💱 サウジアラビアリヤル通貨記号の追加:Windowsフォントを改善し、新しいサウジアラビアリヤル(SAR)通貨記号を追加。Windowsアプリ全体でテキストの一貫性を維持
  • 🔒 セキュアブートのリアルタイムステータス報告:Windowsセキュリティアプリ内でセキュアブート状態をリアルタイムに確認できる新機能を追加
  • ⚙️ 新グループポリシー「LimitSecureBootRequiredServiceData」追加:Microsoftへのセキュアブートサービスデータ送信を制限できるポリシー設定を追加(コンピューターの構成 → 管理用テンプレート → Windowsコンポーネント → セキュアブート)
  • 🛡️ セキュアブート証明書の段階的展開を継続拡大:高信頼デバイスへの新証明書(Windows UEFI CA 2023)配信カバレッジをさらに拡大
  • 🔐 200件のセキュリティ脆弱性を修正(ゼロデイ3件含む。NFS・Task Scheduler・AD CS・Hyper-Vなどに関するCVEを含む)
💡 前月更新(KB5087545)との関係: KB5094128は5月更新(KB5087545)のオプションプレビュー版に含まれていた非セキュリティ修正を取り込んでいます。KB5087545を適用済みの場合、差分のみダウンロード・インストールされます。

⚠️ 不具合①:BitLocker回復キーを求められる(PCR7グループポリシー設定との競合)

対象:Windows Server 2022(特定グループポリシー設定環境) KB5094128 インストール後の初回再起動時 Microsoft公式・既知の問題として認定済み

症状

KB5094128をインストール後の初回再起動時のみ、BitLockerの回復キー(48桁)の入力を求める画面が表示され、Windowsが通常起動しないケースがMicrosoftにより公式確認されています。2回目以降の再起動では発生しません。

影響を受ける条件(5条件すべてを満たす場合のみ発生)

💡 以下の5条件をすべて満たすサーバーのみで発生します。IT部門が管理する一部の構成にのみ影響します。

  1. OSドライブでBitLockerが有効になっている
  2. グループポリシー「ネイティブUEFIファームウェア構成のTPMプラットフォーム検証プロファイルを構成する」が設定されており、PCR7が検証プロファイルに含まれている
  3. システム情報(msinfo32.exe)で「セキュアブート状態 PCR7バインド」が「不可能」と表示されている
  4. セキュアブート署名データベース(DB)にWindows UEFI CA 2023証明書が存在する
  5. デバイスがまだ2023年署名のWindowsブートマネージャーで起動していない

原因

セキュアブート証明書の更新処理(2011年証明書から2023年証明書への移行)に伴い、ブートマネージャーが新しい証明書ベースのものに切り替わります。この際、PCR7を含む非推奨のTPM検証プロファイルが設定されているサーバーでは、TPMがブート状態の変化を「不整合」として検知し、BitLockerの回復モードが起動してしまいます。

🔧 対処法(Microsoft公式推奨)

方法1:KB5094128適用前にグループポリシーを変更する(最も推奨)

更新適用の前に、以下の手順でグループポリシーの設定変更とBitLockerバインドの再生成を実施してください。

  1. グループポリシーエディター(gpedit.msc)またはGPMCを開く
  2. 「コンピューターの構成」→「管理用テンプレート」→「Windowsコンポーネント」→「BitLockerドライブ暗号化」→「オペレーティングシステムのドライブ」に移動
  3. 「ネイティブUEFIファームウェア構成のTPMプラットフォーム検証プロファイルを構成する」を「未構成」に設定
  4. 影響対象デバイスで gpupdate /force を実行してポリシーを反映
  5. BitLockerを一時停止してから再開し、PCRバインドを再生成する
# BitLocker一時停止(Cドライブの場合)
manage-bde -protectors -disable C:
# BitLocker再開(PCRバインドを既定に再生成)
manage-bde -protectors -enable C:

方法2:発生後に回復キーを使ってサインインする(緊急対応)

BitLocker回復キーを事前に保存していない場合は、Azure AD(account.microsoft.com/devices/recoverykey)またはActive Directoryに保存された回復キーを取得してください。初回再起動後は同じ問題は再発しません。

Microsoftは恒久的な修正を今後のWindowsアップデートで提供予定です。 回復キーは事前に Azure AD / Active Directory へのエスクローを徹底し、バックアップを確認しておいてください。


⚠️ 不具合②:WSUSの同期エラー詳細が表示されない(継続中・既知の問題)

対象:Windows Server 2022(WSUS利用環境) KB5070884以降の更新適用環境で継続中 Microsoft公式・既知の問題として認定済み

症状

KB5070884以降の更新プログラムをインストールしたWindows Server 2022環境のWSUSにおいて、管理コンソール上で同期エラーの詳細情報が表示されない問題が継続しています。KB5094128でもこの問題は解消されていません。

原因

これはCVE-2025-59287(WSUSに影響するリモートコード実行の脆弱性)への対応として意図的に実施された機能の一時削除です。脆弱性対応上、エラーレポートの詳細表示機能を一時停止しており、恒久的な修正はまだ提供されていません。

🔧 対処法・代替確認方法

方法1:Windowsイベントビューアーで確認する

「アプリケーションとサービスのログ」→「Microsoft」→「Windows」→「WindowsServerUpdateServices」でWSUSに関するエラーイベントを確認してください。

方法2:WSUSログファイルを直接参照する

以下のログファイルをテキストエディタまたはPowerShellで参照することで、エラーの詳細を確認できます:

# WSUSログの場所
C:\Program Files\Update Services\LogFiles\SoftwareDistribution.log

# PowerShellで最新のエラーを確認(直近100行)
Get-Content “C:\Program Files\Update Services\LogFiles\SoftwareDistribution.log” -Tail 100 | Where-Object { $_ -match “ERROR|FATAL” }

方法3:Microsoft製パッチ管理ツールを活用する

Microsoft Intune・Windows Update for Business・Microsoft Endpoint Configuration Managerなど、WSUSに依存しないパッチ管理ツールへの移行を中長期的に検討することも有効です。

この問題はKB5094128でも未解決です。Microsoftは恒久的な修正を開発中であり、今後の月例アップデートでの提供が見込まれます。引き続き公式情報を確認してください。


⚠️ 不具合③:Hotpatch加入済み環境で今月は再起動が必須(ベースライン月の変更)

対象:Windows Server 2022 Datacenter Azure Edition(Hotpatch加入済み) 2026年6月は通常のHotpatchではなくベースライン更新

症状・変更内容

Windows Server 2022 Datacenter Azure EditionのHotpatchプログラムに加入しているデバイスにおいて、2026年6月は通常のHotpatch(再起動不要)ではなく、ベースライン更新(再起動必須)として配信されています。

原因

🔴 緊急変更の背景:CVE-2026-45585(YellowKey)の公開

Windowsのセキュリティ機能バイパス脆弱性 CVE-2026-45585(通称:YellowKey)が、Microsoftの通常の協調的脆弱性開示プロセス外で公開されました。この緊急性に対応するため、6月は予定通りのHotpatch配信からベースライン更新(再起動必須)に切り替えられました。

通常はHotpatchはQuarterly(3か月ごと)でベースライン月が設定されますが、今月は例外的な対応となります。

⏰ Hotpatchの今後の再開スケジュール

Hotpatch状態 備考
2026年4月 ベースライン(再起動あり) 通常の四半期ベースライン
2026年5月 Hotpatch(再起動なし) 通常通り
2026年6月 ← 今月 ⚠️ ベースライン(再起動あり) CVE-2026-45585緊急対応のため例外変更
2026年7月 ベースライン(再起動あり) 通常の四半期ベースライン
2026年8月以降 ✅ Hotpatch(再起動なし)再開予定 通常サイクルに戻る予定

🔧 対処法・推奨アクション

方法1:メンテナンスウィンドウを計画して再起動を実施する

6月のKB5094128は再起動が必要です。業務への影響を最小限にするため、メンテナンスウィンドウを設定し、計画的な再起動を実施してください。Azure Update Manager等を活用して、スケジュールされた再起動を自動化することを推奨します。

方法2:Hotpatchのステータスを確認する

# インストール済み更新の確認
Get-HotFix -Id KB5094128

# 再起動保留状態の確認
(Get-ItemProperty “HKLM:\SOFTWARE\Microsoft\Windows\CurrentVersion\WindowsUpdate\Auto Update\RebootRequired” -ErrorAction SilentlyContinue) -ne $null

⚠️ 不具合④:セキュアブート証明書更新とOEM BIOSの競合によるBitLocker回復ループ

対象:Windows Server 2022(特定OEM製サーバー) KB5094128 適用後 HP / Dell / Lenovo 製サーバー 要注意

症状

KB5094128による新しいセキュアブート証明書(Windows UEFI CA 2023)へのブートマネージャー移行処理が、HP・Dell・LenovoなどのOEMメーカー製のBIOS/UEFIファームウェアと競合し、起動時にBitLockerの回復キー入力を繰り返し求められる「回復ループ」に陥るケースが一部のサーバーで報告されています。

原因

BitLockerはTPMによってセキュアブート状態が保護・測定されることで機能しますが、ブートマネージャーの証明書更新とOEMが配信した旧BIOS/UEFIファームウェアが競合すると、TPMがブート状態の変化を「不整合」として検知し、BitLockerロックが掛かります。特にHPが2026年4月に配信したBIOSアップデートがProLiantなどのサーバーで問題を引き起こすことがHPにより公式認定されています。

⚠️ HP製サーバー(ProLiant等)ユーザー向け注意

  • 問題:HPが2026年4月に配信したBIOSアップデートが一部のHP ProLiantサーバーでBitLockerの回復ループを引き起こすことをHPが公式認定
  • 確認方法:PowerShellで (Get-ItemProperty "HKLM:\SYSTEM\CurrentControlSet\Control\SecureBoot\State").UEFICA2023Status を実行。「In Progress」のままの場合は証明書移行が失敗している可能性あり
  • 対処法:HPが公式サポートドキュメントで回避策を公開中。ファームウェア更新前にBitLockerを一時停止することを推奨

🔧 対処法

方法1:回復キーを取得してサインインする(緊急対応)

Azure ADポータル → デバイス → 対象サーバー → BitLocker回復キー、またはActive Directory Users and Computersから回復キーを取得してください。

方法2:UEFI BIOSを最新バージョンに更新する(根本対処)

KB5094128を広範展開する前に、各ベンダー(HP/Dell/Lenovo)が提供する最新のUEFI BIOSに更新してください。

方法3:イベントログで証明書移行状況を監査する(企業IT向け)

Event ID 1808(正常移行)、Event ID 1801(未移行)、Event ID 6281(Secure Boot証明書ログ)を確認し、全サーバーの移行状況を精査してください。


✅ 不具合⑤:ドメインコントローラーのLSASSクラッシュ(4月更新KB5082142の既知問題・修正済み)

✅ OOBアップデートKB5091575で修正済み 4月更新KB5082142適用後に発生していた問題 PAM(Privileged Access Management)利用環境

症状(修正前)

4月更新(KB5082142)を適用後、複数ドメインフォレストかつPrivileged Access Management(PAM)を使用している環境のドメインコントローラー(DC)で、起動直後にLSASS(Local Security Authority Subsystem Service)がクラッシュし、DCが繰り返し再起動してしまう問題が発生していました。

  • 影響を受けたDCでは認証サービスおよびディレクトリサービスが停止し、最悪の場合ドメイン全体が利用不能になるケースも
  • 4月のOOBアップデート(KB5091575)、またはHotpatch加入環境ではKB5091576で修正済み

🔧 対処法(KB5091575未適用の場合)

方法1:OOBアップデートKB5091575を適用する(最も確実)

まだKB5091575を適用していない場合は先に適用してください。その後KB5094128を適用することで、本問題を含む全ての既知の問題が解消されます。

方法2:KB5082142をアンインストールする(緊急回避)

DCが起動できない状態になっている場合は、セーフモードまたはWindows回復環境(WinRE)からKB5082142をアンインストールして回復させた後、KB5091575を適用してください。


⚠️ 注意事項⑥:展開メディアへの boot.stl ファイル組み込み要件(OSインストール担当者向け)

対象:Windows Server 2022(動的更新展開環境) OSイメージ展開・インストールメディア作成担当者向け

症状

既存のWindowsイメージに動的更新(Dynamic Update)としてKB5094128を組み込む際、boot.stl ファイルが展開メディアに含まれていない場合に、インストールメディアからのデバイス起動が失敗し、エラーコード 0xc0430001 が表示されます。

原因・対処法

KB5094128はセキュアブート証明書移行に関わるブートファイルを更新するため、動的更新展開時には C:\Windows\Boot\EFI\boot.stl をインストールメディアに追加することが必須です。また、オフラインメディアを使用する場合は KB5030216(2023年9月12日)以降のLCUが適用済みであることを確認してください。

🔧 対処法(IT管理者向け)

手順1:boot.stlをインストールメディアに追加する

KB5094128適用済みデバイスの C:\Windows\Boot\EFI\boot.stl を取得し、展開メディアの同等のパスに組み込んでください。

手順2:オフラインイメージの前提KB確認

DISMコマンドで既存のオフラインイメージのLCUバージョンを確認し、KB5030216(ビルド20348.1970)以上であることを確認してから最新更新を適用してください。


📊 まとめ・対処法一覧

不具合・注意事項 対象 深刻度・状態 対処法
BitLocker回復キー要求
PCR7設定との競合(初回のみ)
WS2022
管理環境のDC・サーバー

(継続中・恒久修正は将来提供)
①適用前にPCR7グループポリシーを「未構成」に設定
②BitLockerを一時停止・再開してPCRバインド再生成
③発生後は回復キーを取得してサインイン(初回のみ)
WSUSエラー詳細が非表示
CVE-2025-59287対応の仕様変更
WS2022
WSUS利用環境
⚠️ 継続中
(修正開発中)
イベントビューアーまたは
SoftwareDistribution.logで代替確認
Hotpatch強制再起動
CVE-2026-45585対応でベースライン化
WS2022 DC AE
Hotpatch加入済み
要確認
(8月以降に再開予定)
メンテナンスウィンドウを計画して再起動を実施
Azure Update Managerで自動化推奨
OEM BIOS起因の
BitLocker回復ループ
WS2022
HP/Dell/Lenovo等
①回復キーを取得して起動
②UEFI BIOSを最新版に更新
③Event ID 1808/1801/6281を監査
DCのLSASSクラッシュ
4月KB5082142のPAM環境問題
WS2022
PAM利用・複数DCフォレスト
✅ 修正済み
(KB5091575で対応)
KB5091575を適用済みであれば解消済み
未適用の場合は先に適用してからKB5094128を適用
boot.stlファイル欠落
展開メディアの0xc0430001
WS2022
動的更新展開環境

(展開担当者向け)
インストールメディアにboot.stlを追加
前提KB(KB5030216以降)の確認

🗂️ IT管理者向け KB5094128 展開前チェックリスト

  • BitLockerポリシーの確認:PCR7を含む「ネイティブUEFIファームウェア構成のTPMプラットフォーム検証プロファイル」グループポリシーが設定されていないか確認し、設定されている場合は「未構成」に変更
  • BitLocker回復キーのエスクロー確認:全対象サーバーのBitLocker回復キーがAzure AD / Active Directoryに保存(エスクロー)されていることを確認
  • UEFI BIOSのバージョン確認:HP・Dell・Lenovoなどのサーバーは各ベンダーの最新BIOSに更新済みであることを確認
  • LSASSクラッシュ対策(DCのみ):KB5091575が適用済みであることを確認(PAM利用環境かつ複数ドメインフォレスト環境が特に重要)
  • Hotpatch加入状況の確認:Hotpatch加入済みの場合、6月は再起動が発生することを関係者に周知しメンテナンスウィンドウを設定
  • WSUSの代替ログ確認手順を整備:エラー詳細が非表示になるため、イベントビューアーやWSUSログファイルによる代替確認手順を運用ガイドラインに組み込む
  • 展開メディアの確認(OSインストール担当者のみ):動的更新展開環境ではboot.stlファイルが含まれていることを確認
  • ステージング環境での事前検証:特にドメインコントローラーは、ステージング環境での検証後に本番環境へ段階的に展開

🔗 参考・公式情報

最終更新:2026年6月10日(v1.0)/ 情報は記事公開時点のものです。今後の公式発表により内容が変わる場合があります。

コメント

タイトルとURLをコピーしました